前回のブログ記事 誤解が多い?化粧品の界面活性剤について【1】 では、化粧品における界面活性剤をテーマにしましたが、まだまだご説明が不十分であったと思います。

今回のブログ記事では、その続編として(補足的な意味合いもこめまして)、もう一度界面活性剤について取り上げてみたいと思います。

なお、前回も述べました通り、界面活性剤全体の話になると、あまりに広範囲となってしまいますので、化粧品に使用される界面活性剤を中心にしたいと思います。


そもそも界面活性剤って何?


まず、前回の界面活性剤をテーマとしたブログにおいては、そもそも界面活性剤とは何か?ということがきちんとご説明できていませんでした。

界面活性剤について語るうえで、本来は最初にご説明すべきことだったので、前回の界面活性剤をテーマとしたブログは少々分かりづらかったかもしれません。申し訳ございません。

界面活性剤は、文字どおり「界面」を「活性化」する物質です。

界面とはモノとモノの境界面のことです。

油と水の境界面、液体と気体の境界面、気体と固体の境界面など、二つの物質が接触する境界面を界面といいます。

そして、その界面の性質を変えることを、活性化するといいます。 



例えば、油と水の界面では、水と油が混ざり合うことはありません。

この混ざり合うことのない界面に界面活性剤を加えてその性質を変える(活性化する)と、油と水が容易に混ざるようになります。

気体(空気)と液体(水)の界面も簡単には混ざり合いませんが、界面活性剤で両物質の性質を変える(活性化する)と、空気は小さな気泡となって水中に分散します。

化粧品における界面活性剤は、水分と油分などのように、互いに混ざり合わない物質の仲立ちをし、溶け込んだ状態にする物質です。

クリーム、乳液をはじめ、石鹸、シャンプー、リンスなど様々な化粧品に使用されています。

また、界面活性剤は食品にも多く使用されています。マーガリン、アイスクリーム、牛乳、マヨネーズなどは、界面活性剤のはたらきにより、水と馴染まない油脂やタンパク質を乳化したり分散したりしています。


化粧品づくりには界面活性剤は必要


化粧品の場合、基本的には、その主な原料は水と油であって、そこに様々な美容成分を配合してつくるわけですから、こういった馴染みあわないものを混じり合わせてくれるものとして、界面活性剤は必要不可欠な原料です。

界面活性剤の構造は、その分子内に油分と馴染む親油性部分と水分と馴染む親水性部分とを持っています。

その構造を利用して、相互に混じり合わない水と油を乳化させ、油中水型(W/O型)、水中油型(O/W型)、あるいは二重構造の乳化物(エマルジョン)をつくったりします。

さらには、水に溶けることのない保湿成分などの美容成分や香料などを透明に混和させる可溶化作用、おしろいなどの本来は粉末状の原料の水中分散性を高める作用、水と馴染まない油性の汚れを取り込んで落とす洗浄作用などがあります。

このように界面活性剤は、様々なはたらきをしています。



化粧品に界面活性剤が使用されるのは、こういった界面活性剤のはたらきを活かすことで、より高い美容効果が期待できる上質な化粧品を造ることができるからです。

例えば、界面活性剤を使用することで、肌へ馴染みやすく感触が良くなり、使用感が格段に向上します。

また、水分と油分、保湿成分などが均一な状態で配合できるようになりますので、その結果として、水分補給、油分補給、肌の保護作用が期待できます。

さらに、界面活性剤の活用により、細胞賦活剤などの美容成分を、肌に浸透しやすくしてくれます。

こういったはたらきは、化粧品には欠くことができません。

界面活性剤のはたらきを度外視して、危険なものと決め付けるのは少々乱暴な考え方ではないでしょうか。

乳化物(エマルジョン)をつくるためには、乳化剤あるいは乳化安定剤が必要なのです。



また、合成界面活性剤を使った洗剤は、環境汚染につながるから、石けんを使うべきだという考えがあったりしますが、石鹸も実は合成界面活性剤(陰イオン系界面活性剤)のひとつです。

確かに、古くからある合成洗剤の中には、自然界に還元されにくいというものがありますが、界面活性剤すべてが悪い物質で不要なものだとしてしまうのは間違いだと思います。

問題は、いかに安全で機能の良い界面活性剤を使用するかであって、界面活性剤そのものを全否定してしまうと、本当に肌にとってプラス効果のある化粧品はつくることは出来なくなってしまいます。


界面活性剤がシミや肌荒れの原因になるのでは?


かなり以前から、界面活性剤がシミや肌荒れなどの原因になるという考え方があるようです。

確かにある種の界面活性剤は皮膚への浸透性が高いため、角質層を通過して表皮、真皮を直接刺激することがあります。

そのため、皮膚内で炎症を引き起こし、メラニン色素の活性化を促し、色素沈着が起こるわけです。

また、作用の強い界面活性剤によっては、角質層の層構造を損傷し、肌の保湿機能やバリア機能を低下させてしまいます。

そのため、慢性的な肌乾燥や肌荒れの状態となってしまい、肌老化・肌トラブルの直接的な原因となってしまうことがあります。



しかし、界面活性剤がすべて皮膚内部へ浸透するのではありませんし、作用が緩和な界面活性剤も多くあります。

例えば、石鹸やある種の天然系の合成界面活性剤は、皮膚表面もしくは皮膚の中で簡単に分解し、その機能を失いますので、皮膚の深部まで到達することはありません。

また、角質層を損傷してしまうような、強い作用を持ち合わせていない界面活性剤もあります。



また、化粧品は界面活性剤が主体ではなく、あくまで、油分、水分および保湿成分などの仲介役としての機能を有しているにすぎません。

水分と油分を混ぜ合わせるための乳化剤に、あるいは少量の油性成分を水に可溶化するために界面活性剤は使われているのであって、その使用量は非常に少ないのです。

確かに、数十年前は、化粧品の安定性や粘調性をコントロールするのに、今よりも多量の界面活性剤が使用され、中には数パーセント以上の界面活性剤を使った時代もあったようです。

しかし、今では乳化技術が格段に向上しましたので、少量で安定した乳化物(エマルジョン)がつくられるようになりました。



そうは言っても、肌に対してはあまりおすすめできない界面活性剤が存在するのも事実です。

ただ、界面活性剤を全否定していては、本当に肌にとってプラスの効果をもたらす化粧品とも巡り合えないかもしれないということです。

界面活性剤全てが悪というわけではありません。

様々な界面活性剤がありますし、化粧品造りには界面活性剤は必要なのです。

本来の化粧品の目的である、健やかで美しい肌の維持を実現するためにも、界面活性剤について正しく理解することが必要なのではないかと思います。


ひとくちに界面活性剤といってもその数は膨大!


ひとくちに界面活性剤といいますが、その数は途方も無く多くありますし、界面活性剤という言い方をしなくても、界面活性剤としてのはたらきを持たせるために使用されるものなどもあります。

化粧品会社としては、こういった数多い界面活性剤の中から、肌にも安全であり、環境保全にも配慮したもの、化粧品としての品質向上にもつながるものを選んで使用しないといけません。

数多くの界面活性剤は、その原料によって、天然系の界面活性剤か、合成の界面活性剤か、あるいは石油系の界面活性剤か・・・などと分類したりもしますが、その分子構造によっても分類することができます。



界面活性剤をその分子構造に基づいて分類した場合、イオン性界面活性剤と非イオン性(ノニオン)界面活性剤に大きく分類されます。

イオン性界面活性剤は更に、陰イオン性(アニオン)界面活性剤、陽イオン性(カチオン)界面活性剤、両性界面活性剤に大別されます。

界面活性剤は、一つの分子の中に『水になじみやすい部分(親水基)』と油になじみやすい部分(親油基)』の両方を持っています。

そのままでは、混ざり合うことのない水と油があった場合、ここに界面活性剤が溶け込んでくると、界面活性剤は水と油の界面に集合し親水基は水に、そして親油基は油になじみます。

そして、それぞれの界面張力が低下することによって混ざり合うことのなかった二つの液体が混ざり合うようになります。



このように一つの分子中に親水基と親油基といった二つの異なる分子構造を併せ持つのが界面活性剤の基本構造ですが、この界面活性剤を水に溶解させた時、その親水基が電離してイオン(電荷をもつ原子団)となるのがイオン性界面活性剤で、イオン化しないのが非イオン(ノニオン)界面活性剤です。

イオン性界面活性剤は更に、電離したときのイオンの性質によって、マイナスイオンに電離するアニオン(陰イオン)界面活性剤、プラスイオンに電離するカチオン(陽イオン)界面活性剤、そして系のpH(酸性度)によってマイナスにもプラスにも電離する両性界面活性剤の大別されます。

それぞれの界面活性剤は親水基と親油基の種類・構造によって、更に細かく分類され、その種類によって、それぞれ特徴や用途が違います。

ちなみに、界面活性剤に対比して、安全なものとしてとりあげられることが多い「石けん」は、陰イオン性界面活性剤のひとつです。

なお、それぞれの界面活性剤の特徴や用途を簡単にご紹介すると以下の通りです。



【陰イオン性(アニオン)界面活性剤】

水に溶かしたとき、イオンに解離して親油基の部分がマイナスに解離する界面活性剤。洗浄力が強く、泡立ちが良いが殺菌力は弱い。皮膚刺激性は弱い。

化粧品、石けん、シャンプー、洗剤などに広く使われる。



【陽イオン性(カチオン)界面活性剤】

水に溶かしたとき、イオンに解離して親油基の部分がプラスに解離する界面活性剤。

殺菌力が強く、皮膚刺激性はやや強い。毛髪に対する吸着力が強く帯電を防止する。

化粧品、リンス剤、殺菌剤、静汗剤などに用いられる。



【両性界面活性剤】

水に溶かしたとき、pHによって親油基の部分がプラスに帯電したり、マイナスに帯電したりする界面活性剤。

洗浄力が強く、殺菌作用、毛髪の柔軟効果、皮膜形成効果もある。刺激性はほとんどない。

目にしみないシャンプー、リンス、柔軟剤などに用いられる。



【非イオン性(ノニオン)界面活性剤】

水に溶かしたとき、イオンに解離しない界面活性剤。化学的に安定で、他の界面活性剤と混ぜ合わせても有効。

酸性でもアルカリでも使える。乳化作用、分散作用、浸透作用がすぐれている。刺激性は少ない。

化粧品の乳化剤として用いられる他、食品添加物としても使用される。



なお、肌への刺激という点からみると、イオンは肌へ浸透しやすいので、一般的には、イオン性界面活性剤の方が、非イオン性界面活性剤より刺激が強いと言われています。

イオン性でも、陽イオン性(カチオン)界面活性剤よりも、陰イオン性(アニオン)界面活性剤の方が刺激性は弱く、両性界面活性剤はほとんど刺激性は無いとされています。

また、イオン性でも、アミノ酸系の界面活性剤の場合は、陽イオン性(カチオン)でも陰イオン性(アニオン)でも、刺激がほとんどなく安全性の高いものがあります。

現在、基礎化粧品などに使用される界面活性剤は、非イオン性(ノニオン)界面活性剤が多くなってきています。

これは、界面活性剤としての作用がおだやかで、皮膚刺激性もほとんど無いということに加え、化学的にも安定し、洗浄、乳化、分散、浸透など幅広く使用できるためです。


天然原料からつくられた界面活性剤について


界面活性剤を、その原料から、天然系の界面活性剤、合成の界面活性剤、あるいは石油系の界面活性剤などと分類して、天然系の界面活性剤が安全であるという考え方をよく耳にします。

以前は、界面活性剤の原料と言えば、石油系が中心だったのですが、今では天然系素材を由来としたものも多くなっています。

代表的なものとして大豆由来のレシチンをはじめ、アシルアミノ酸系界面活性剤、アシルコラーゲンペプチド、脂肪酸グリセリンエステルや、ショ糖脂肪酸エステルなどがあげられます。

ただ、天然素材を原料とした界面活性剤であっても、レシチンなど純粋に植物から抽出したものを除けば、上記の天然系の界面活性剤も含め、その多くは人間によって化学的に合成されたものです。

その原料の由来が植物など天然系のものいうことであって、正確には合成界面活性剤となります。



化粧品に使用される界面活性剤の場合、レシチンなど純粋に天然の界面活性剤だけでは作用が弱く、単独では界面活性剤としての機能が十分に果たせないということがありますし、非常に酸化しやすいため、酸化しないように水素などを添加した状態にすると(水添レシチン)、これは合成の界面活性剤ということになります。

ですから、天然系の界面活性剤か、合成の界面活性剤か、と分類するのは無理があるようにも思います。

なお、以前、安全性において問題となった界面活性剤は、石油系のものが多かったことから、消費者の皆様にも天然を謳った界面活性剤を求める気持ちが多いようですが、現在化粧品に使用されている界面活性剤は、石油系にしろ、天然系にしろ、基本的には安全なものとなっています。


モルトリーチェの界面活性剤についての考え方


それでは、モルトリーチェでは、どのような界面活性剤を使用しているのでしょうか?

モルトリーチェ化粧品は、「肌が自ら美しくなろうとする力=肌本来の健康機能」の維持を目的に、肌に負担をかけない、肌にとって自然で馴染みの良い、肌本来の機能(保湿・バリア・肌再生など・・・)をサポートする化粧品でありたいと考えています。

そのため、肌類似成分を中心とした化粧品造りに取り組んでおり、その原料・素材は海と大地の恵みに求めています。

やみくもに化粧品原料は石油系だから危険だと避けているのではありません。

むしろ現在の化粧品原料であれば、石油系の方が安全な化粧品を低コストで簡単に造れるのではないかとさえ考えています。

しかし、肌に自然なもの、あるいは肌成分に類似したもの、肌本来の機能を引き出すもの、といった考え方から化粧品原料・素材を厳選していくと、今のような天然原料主体の化粧品となったということです。



モルトリーチェでは、界面活性剤についても、こういった考え方に基づいて採用しています。

中心となっているのは、大豆など植物由来の脂肪酸系の界面活性剤で分子構造的には非イオン系(ノニオン)界面活性剤に分類されるものです。

また、安全性の高いアミノ酸系界面活性剤も使用しています。

洗顔剤にはヤシ油由来脂肪酸をケン化した石けん(ミリスチン酸石けん)が洗浄目的の界面活性剤として使用しています。



一般的に化粧品に使用されている界面活性剤は、肌に対して直接的に危険なものはほとんどないと思いますが、中には肌への浸透力が強いもの、界面活性剤としての作用が強いもの、分解性の悪いものなどもあります。

これらは、長期間使用を継続すると、肌乾燥、肌荒れ、色素沈着・・・といった肌への悪影響を与える可能性もあります。

モルトリーチェで使用している界面活性剤は、作用の緩和なものを使用していますので、肌表面の角質層を必要以上に傷付けることがなく、肌の保湿機能やバリア機能を低下させることがありません。

また、生分解性が良い界面活性剤ですので、皮膚内部へ浸透することが無く、また浸透してもすぐに分解されてしまいますので、肌への刺激性もありません。

さらに、生分解性が良いということは、微生物によって簡単に分解されるということですので、環境保全にもプラスと言えます。



界面活性剤については以下のブログ記事もご覧ください。モルトリーチェで使用している界面活性剤の一覧についてもご紹介しています。

誤解が多い?化粧品の界面活性剤について【1】