パラベンという防腐剤を危険な成分として敬遠する方がいらっしゃいます。

でも、多くの化粧品に配合されています。

一方、無添加化粧品といわれるものにおいては、パラベンが配合されていないことが、安全性の証明のように言われることがあります。

パラベンが本当に危険な成分であれば、全ての化粧品からパラベンが排除されるべきですが、多くの化粧品に配合されているのはどういうことなのでしょうか?

今回はパラベンという防腐剤は「善玉」なのか「悪玉」なのか?その安全性についてお話したいと思います。


パラベンとはいったいどんな成分?


パラベンは防腐剤として化粧品や食品に広く使用されています。

パラベンはパラオキシ安息香酸エステルとも言いますが、これは総称であって、パラベンと呼ばれる成分には次のものがあります。

パラオキシ安息香酸イソブチルエステル、パラオキシ安息香酸イソプロピルエステル、パラオキシ安息香酸エチルエステル、パラオキシ安息香酸ブチルエステル、パラオキシ安息香酸プロピルエステル、パラオキシ安息香酸メチルエステル

パラベンは、食品や化粧品に添加する防腐剤の代表格として広く使用されてきました。

それは、毒性・刺激・においなどが他の防腐剤と比べて抜群に低いということ、非常に広範囲の微生物に有効であるということ、少量で有効かつ持続性があるということからです。

また、化粧品に使用する場合、パラベンは分子量が大きいため、角質層を通って皮膚内部に浸透することもありません。

しかも、長年、広範囲に渡り、防腐剤として使用されてきましたので、それだけ実例も多く研究も進んでいます。

使用する企業側としても、こういった理由から防腐剤を使用する際には、最も信頼性があって安心な防腐剤としてパラベンを使ってきました。



パラベンが危険という話はどこからきたの?


それでは、「パラベン=危険な成分」と思われているのは何故でしょうか?

これはかつてパラベンがアレルギーを起こす可能性がある成分として旧厚生省により表示指定成分に指定されてしまったからです。

何十年も前に決められた102種類の表示指定成分の中にパラベンも含まれていたわけですが、表示指定成分の中にも毒性が高いものから極めて低いものまであります。

また、現在は化粧品に使用される成分は何千種類もありますが、表示指定成分以外でも注意を要する成分もたくさんあります。

そこで、2001年、化粧品については、指定成分の表示制度から全成分の表示制度に変更されました。

ですから、かつての表示指定成分が危険で、表示指定成分以外は安全という考え方は違うのではないかと思います。

パラベンによってアレルギーを起こした人がいたという事実はあったのでしょうが、ごく一部の人であって、全ての人がアレルギーを起こすという事では決してありません。

パラベンは長年、広範囲に渡り使用されてきましたので研究もよくされていて、今ではパラベンによってアレルギーを起こす人は約0.3%程度だと言われています。

逆に言えば、それ以外の方は大丈夫なのです。

また、かつての表指定成分に含まれない成分であっても、また肌に有益と言われる各種の保湿成分や美容成分であっても、100%アレルギー反応を起こさないという保証はありません。

人によって肌質や体質が違いますし、どの成分に肌が反応を起こすかは人それぞれです。

もちろん、化粧品各社はそういったアレルギー反応等の肌トラブルが発生しないよう、そのリスクをできる限りゼロに近づけるように原料や成分を吟味して化粧品製造に取り組んでいます。



それでも気になる・・・防腐剤の必要性?


ただ、上記のとおり、パラベンが100%安全な成分というわけではありませんし、アレルギー反応を起こす可能性が全く無いとは言えません。

それでも多くの化粧品にはパラベンが使用されているのは何故でしょうか?

化粧品に限らず食品でも水を含む製品は大変腐敗(酸化・変質)しやすいものです。

カビのように目に見えるものや悪臭がするものであれば腐敗していることがわかりますが、見た目は正常でも細菌が数多く繁殖している事もあります。

むしろそのケースのほうが多いでしょう。

空気中には数多くの細菌が漂っていますが、目に見えるわけではありません。

このように目に見えない細菌が二次汚染といって、使用中の化粧品に侵入してくる事は十分にありえます。

化粧品には肌にとって有用な成分が配合されていますが、これは菌が繁殖するにも最適の環境ということでもあります。

一旦菌が化粧品の中に侵入すると、その繁殖はまたたく間です。

菌の繁殖した化粧品を使うほど気持ちが悪く、肌にとって危険な事はありません。

もちろん、防腐剤を使用せずに冷蔵庫などに保管し、菌の繁殖を防いだり遅らせたりする方法もあります。

しかし、これも防止効果は限定的ですし、菌が繁殖しているかどうかは判別しにくいわけですから、使用に際しては不安がつきまといます。

ですから、こういった菌の繁殖を防ぐには、どうしても防腐剤が必要になってきます。

そして、最も信頼できる防腐剤として、パラベンが使用されてきたわけです。



防腐剤を使用していない化粧品について


最近はパラベンや防腐剤を配合していない化粧品も販売されています。

ただ、パラベンを配合していない化粧品でも、かつての表示指定成分に指定されていない別の防腐剤(フェノキシエタノールなど)を配合している場合があります。

特に表示指定成分の記載義務があった頃は、表示指定成分として悪いイメージがつきまとうパラベンを配合しないことによって、無添加化粧品を標榜することができましたし、安全性を強調するために都合がよいからでしょう。

しかし、フェノキシエタノールはパラベンより抗菌力は弱く、パラベンの数倍の量を使用する必要があります。

また、防腐剤そのものを配合していない化粧品もあります。

もちろん、防腐剤は完全に安全というわけでもありませんので、配合しないに越したことはありません。

しかし、何度も言いますが、化粧品に防腐剤が入っていないということは、腐敗する可能性があるということです。

安全性という面では、より注意が必要となってきます。

このような化粧品は、小分けして、冷蔵庫などに保管し、腐敗しないうちに早めに使用しないといけません。

それでも、菌の繁殖は一瞬ですから、開封後いつの間にか腐敗しているということもあります。

また、腐敗していることに気づかずに使用してしまうケースだって十分にあり得るのです。



表示されていない防腐剤もある?


防腐剤を使用していないように見える化粧品であっても防腐剤がゼロ配合ではないというケースもあります。

2001年から化粧品には全成分表示が義務化されていますが、特例として表示しなくてもよいという成分もあります。

ひとつは、厚生労働省の認可を受けた企業秘密成分で、これは「その他」として表示することが可能です。

ただ、この件については特例として制度上はありますが、承認申請しても認めらることはあまりありません。

もうひとつの特例は、原料そのものを安定させるために使われた防腐剤等の成分、エキスを抽出する際に使用するなど配合成分にどうしても付随してしまう成分など、極微量のものは全成分の表示義務は無いということです。

こういった成分をキャリーオーバー成分と言います。

つまり、化粧品のパッケージ等に記載された全成分表示の中に防腐剤が入っていなくても、その化粧品の原料を安定させるために防腐剤が使われているケースもあるということです。



モルトリーチェの防腐剤についての考え方


防腐剤を使用するか否かという議論もありますが、化粧品については、必要最小限の防腐剤を使用し、商品の安全性や品質を維持することがメーカーの責務ではないでしょうか。

逆に、防腐剤を使用しないということは、その商品の安全性や品質保持の責任を過度にお客様へ委ねることになるのではないかとも考えます。

本来、化粧品の安全性や品質保持についてはその商品を製造したメーカーに責任があります。

モルトリーチェとしましては、通常の保管方法や使用方法さえ守っていただければ、安全性や肌に対する有用性が保たれる高品質な商品を提供していきたいと考えます。

また、腐敗の可能性が高い化粧品と、パラベンは使用しているが腐敗の可能性は低い化粧品を比較検討した場合、肌への有用性という観点からもパラベンは必要だと考えます。

天然の成分の中には、肌に対して安全で高い美肌効果を持つ反面、腐敗・変質しやすいものも多々あります。

このような成分のプラス効果を利用する場合、パラベンはどうしても必要となってきます。

このような理由から、モルトリーチェでも防腐剤としてパラベンを使用しています。

防腐剤の中では、パラベンが現状では安全で優秀な防腐剤と考えますし、配合量も少量(0.1%ほど)で十分な効果があるからです。



モルトリーチェのスキンケアについての考え方は、健康な肌であれば本来有している「肌が自ら美しくなろうとする力」をサポートすることで若々しく美しい肌を維持しようということです。

モルトリーチェスキンケア化粧品の詳細については、以下のモルトリーチェ公式サイト内のページでご案内しておりますので、是非ご覧ください。




初投稿:2006/07/24