今回は、皮膚の構造の中でも、私たちの肌健康を支えている角質層の重要な機能「バリア機能」「保水機能」についてお話します。

皮膚は、体の表面をおおっている器官で、外界にさらされながら私達の体を様々な環境の変化から守ってくれています。

その面積は約1.7平方メートルと言われ、人体最大の器官でもあります。

皮膚は、体温調節、知覚、分泌・排泄、防御(バリア機能)、保護など、さまざまな役割を担っています。

その中で、バリア機能と水分保持機能はたいへん重要なはたらきで、皮膚の健康に深く関っています。



「肌が美しい」「肌が荒れている」というのは角質層の状態が関係している


皮膚の構造は、外側から内側へ、上皮組織の表皮、結合組織の真皮、脂肪組織である皮下組織といった三つの組織から構成されています。

さらに、表皮は、外側から角質層、顆粒層、有棘層、基底層から構成されています。




「肌がつややか」「肌が荒れている」など、美容上の「肌の状態」を言うとき、多くの場合、皮膚の最上層である角質層の状態が大きく関係しています。

また、皮膚を外部環境から守るということについても、角質層がたいへん重要ははたらきをしています。

角質層は、外部からの異物の侵入を防ぎ、水分の蒸発を防ぐとともに、内部の保湿成分の喪失を防止して、皮膚のみずみずしさを保っています。



肌状態を左右する角質層の重要なはたらき「バリア機能」と「保水機能」


角質層は、厚さ0.02ミリほどの中に角質細胞が15層から20層にも重なり合ってできています。

角質細胞が、レンガのように並び、その細胞と細胞の間にセメント剤のように細胞間脂質やNMF物質が存在しています。




細胞間脂質は、角質細胞の間をつないでいる脂質のことで、皮膚内部の水分が外部に蒸散することを防いでいます。

また、角質細胞と角質細胞を接着して、角質における層構造を支えています。

NMF成分は、角質層にある天然保湿因子です。その主成分は各種のアミノ酸です。

NMF成分は、角質層で水分を含んで保持する重要なはたらきがあります。

角質層は、角質細胞・細胞間脂質・NMF成分などが薄く緊密に層状を形成し、外部からのウィルス、バクテリア、有害物質、その他異物の侵入を防いでいます。

健やかな皮膚状態というのは、角質層において角質細胞が緊密な層構造を形成しており、有害物質の侵入からも防御され、水分の蒸散も抑えられています。

また、見た目にもしっとりと滑らかな肌となります。


新陳代謝で皮膚細胞は常に生まれ変わる


なお、角質細胞というのは、表皮の最下層(基底層)で生まれた細胞が徐々に押し上げられていき、最上層(角質層)に到達したものです。

最上層(角質層)に到達した後、活動を停止した細胞として角質層を構成します。

これらの角質細胞は、さらに角質層の下から上へ押し上げられ、最終的にはアカやフケとして剥がれ落ちていきます。

このサイクルを皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)と言い、通常28日間周期とされます。



角質層のバリア機能が傷つくと肌乾燥・肌荒れなど様々なトラブルが!


厚さ0.02ミリほどの角質層は、軽い物理的刺激でも傷つくことがあります。

例えば、かゆいからといって、皮膚表面をひっかいたりすると、角質層は傷つけられ、層構造が乱れたりします。

そうすると、そこから微生物や有害物質が侵入を許すことになったりします。

また、クレンジングや洗顔による過度の摩擦、加齢による皮膚の老化、紫外線、寒冷、空気の乾燥、界面活性剤などの影響により、角質層が損傷を受けたり、細胞間脂質やNMF成分が不足したりするともあります。

角質層の層構造の乱れ、それに伴うバリア機能・保水機能の低下は、様々な肌の老化現象やトラブルの原因となります。

角質細胞は浮き上がって剥がれ、水分は失われ、皮膚は乾燥し、荒れた状態となってしまいます。


バリア機能の損傷は皮膚炎の原因に


さらに、角質層が損傷を受けると、角質層のバリア機能に続く第2の防御機能として、表皮の免疫細胞が異物の侵入に対し反応します。

これが、炎症などの皮膚トラブルの原因となってしまいます。

アトピー性皮膚炎なども、角質層のバリア機能の低下あるいは損傷によって、外的刺激物が肌内部に侵入し、それに対して免疫細胞が反応することが原因のひとつでもあります。


角質層の機能低下と皮膚の新陳代謝


また、このように角質層のバリア機能が損傷を受けると、皮膚はそれを修復し有害物質の侵入に対処しようとします。

そのため、表皮基底層における細胞増殖が活発になり、生成された細胞が次々と上へ押し上げられ角質細胞となっていきます。

しかし、短期間で角質層へ押し上げられてしまった角質細胞は、即製の機能の劣る角質細胞であるため、角質層において十分なはたらきをすることができません。

つまり、十分なバリア機能や保水機能を有しない角質層が形成されてしまいます。

古い角質細胞の自然剥離(フケやアカとして自然に剥がれ落ちること)にも支障をきたすようになります。

角質細胞がいつまでも皮膚表面に残存し、皮膚表面は、カサカサとして、厚ぼったい状態となってしまいます。

このような角質層では、バリア機能・保水機能も低下し、様々な有害物質の侵入をさらに許すことになりますので、皮膚の状態をますます悪化させてしまいます。



バリア機能を守るスキンケアを!


角質層のバリア機能は、皮膚を擦るなどの物理的刺激をはじめとして、界面活性剤などの化学物質、洗浄力の強い洗浄剤の使用、紫外線、大気の乾燥、温熱、寒冷、老化(加齢)など、様々な要因により損傷を受けたり、その機能が低下したりします。

こういったバリア機能の損傷要因となるものを極力排除するとともに、角質層のバリア機能や水分保持機能を補うための日常のスキンケアも大切です。


バリア機能保護の基本はやさしい洗顔


まず、クレンジングや洗顔など、皮膚の付着物を取り除く際に、洗浄力の強すぎるクレンジング剤や洗顔フォームを使わないことです。

また、クレンジングや洗顔の際、決して強く擦らないことです。

まだ皮膚にとどまっておくべき角質細胞まで取り除き、角質層の機能を低下させてしまいます。

さらに、洗浄力の強い洗顔剤には、作用の強い界面活性剤が使用されていることがあります。

作用の強い界面活性剤の中には、角質層の細胞間脂質を変性させバリア機能を低下させるものありますから要注意です。

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角質層の機能を支える三要素を補給


角質層のバリア機能と水分保持機能を補うために、水分、保湿成分、油分などを必要に応じて与えることも必要です。

角質層ではバリア機能と水分保持機能は相関関係にあり、バリア機能が低下したときは水分保持機能も低下しており、水分保持機能が低下したときはバリア機能も低下しています。

角質層の水分保持機能を支えているのは、健全な層構造の形成とともに、「皮脂膜」「細胞間脂質」「NMF成分」です。

「皮脂膜」は、皮脂と汗から構成されるもので、皮膚表面からの水分の蒸散を防ぎます。主成分は脂肪酸、スクワラン、ロウ類などです。

「細胞間脂質」は、角質細胞と角質細胞の間に存在し細胞の層構造を形成させるとともに、水分の角質層からの喪失を防いでいます。主成分はセラミドで代表される脂質です。

「NMF成分」は、細胞間脂質の間に存在し、水分を保持する能力が非常に高く、角質層に十分な水分を抱え込む役割を果たします。その主成分は各種アミノ酸です。

これらの成分は、年齢とともに減少していきますし、その他様々な要因により不足状態となってしまいます。

皮膚の健康という面からも、見た目の肌の美しさという点からも、化粧品によってこれらの成分を補うといった保湿対策をおすすめします。

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新陳代謝をサポートするマッサージ


新陳代謝のリズムが、加齢・紫外線・寒冷・体調不良などで乱れると、健全な角質層の形成に悪影響を与えます。

機能が劣る即製の角質細胞が角質層へ送り込まれたり、本来は剥がれ落ちるはずの古い角質細胞が残存したりして、角質層のバリア機能や保湿機能は低下します。

こうなると、肌はシットリ感やなめらかさを失い、硬くなったり、厚ぼったくなったり、くすんで見えたりします。

新陳代謝が正常に機能することは、健康的な角質層、そして美しい肌を保つために、たいへん重要なことです。

マッサージは、毛細血管の血行促進、皮膚温の上昇により新陳代謝を好影響与えます。

また、不要な古い角質の剥離のリズムを整えることにも役立ちます。

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初投稿:2006/08/07