紫外線は肌老化の最大要因です。
その紫外線の悪影響から肌を守るために、これからの季節に欠かせないのが日焼け止め化粧品です。
様々なタイプの日焼け止め化粧品が販売されていますが、その中から自分に合うものを選ぶとなると結構難しいものです。
紫外線防止効果が高くて、使用感も良くて、肌へもやさしくて、利便性もあって、美容効果もあって、価格も安くて、製造元(発売元)も信頼できて・・・
このように、日焼け止め化粧品を選ぶ基準はいろいろとあります。
ただ、その一番の使用目的は紫外線の肌への悪影響を防ぐということですから、まずは紫外線防止効果の高さが気になるのではないでしょうか。
日焼け止め化粧品には、その紫外線防止効果を表すひとつの指標としてSPFやPAが表示されています。
日焼け止め化粧品を選ぶ際は、その値が高いものに興味を引かれてしまうのではないかと思います。
しかし、SPFやPAの値だけで選んでしまうと、本当に自分に合った日焼け止め化粧品とめぐり合えないこともあります。
確かに、SPFやPAの値が高い方が紫外線防止効果が高いということになりますが・・・
肌に対して使用するものですから、肌への負担はどうなのか、使用感はどうなのか、といったことも考える必要があるように思います。
紫外線の強さや浴びる量というのは、時や場所、それぞれの生活環境などによってかなり変わってきます。
最近では、SPF50以上の日焼け止め化粧品も簡単に手に入るようになりました。
しかし、日常の紫外線対策として、果たしてそんなに高い紫外線防止効果が必要なのかという疑問もあります。
SPFやPAの値だけに目を奪われるのではなく、その値を目安にしながらも、使用環境、商品特徴、自分の肌質などを考慮したうえで、自分に合った日焼止め化粧品を選ぶことが大切だと思います。
そのためには、SPFやPAについて知ることも必要かと思います。
SPFについて
SPFは、紫外線の中でも、UVBの防止効果を表しています。
UVBは、人体にとってたいへん危険な紫外線と言われています。
肌にあたると、サンバーン(炎症)を起こし、ひどい場合は水ぶくれを起こすことがあります。
サンバーンの後、サンタン(皮膚の黒化)と肌荒れが起こります。
UVBは表皮の最下層である基底層にまで達します(波長の長いUVBは、更に奥の真皮層にまで達します)。
基底層では表皮細胞が生成されますので、UVBによって細胞が損傷を受けると肌老化、さらには皮膚ガンの原因となることがあります。
SPFは、「SPF15」「SPF30」といった数値が記載されますが、数値が大きい方がUVBの防止効果は高くなります。
PAについて
PAは、紫外線の中でもUVAの防止効果を表しています。
UVAは人体に及ぼす悪影響はUVBよりは小さいと言われていますが、窓ガラスを透過しますので、室内や車内にいても届いてしまいます。
また、曇りの日でも量はそれほど少なくなりません。
UVAによる日焼けは、サンバーン(炎症)が起きずに黒化していきますので、身体にやさしいと思う人も多いようですが、UVAは真皮層まで達し、真皮の層構造を劣化させます。
その結果、肌は弾力性を失い、タルミやシワの原因となります。
PAは、「PA+」「PA++」「PA+++」「PA++++」の4段階で表わしますが、「+」が多いほどUVAの防止効果は高くなります。
SPF・PA 選び方の目安
ちなみに、日本化粧品工業連合会による「生活シーンに合わせた日焼止め化粧品の選び方」を参考にすると目安はだいたい以下の通りです。
シーン 1
散歩や買物などの日常生活
SPF5 〜 SPF20 PA+ 〜 PA++
シーン 2
屋外での軽いスポーツやレジャーなど
SPF15 〜 SPF30 PA++ 〜 PA+++
シーン 3
炎天下でのレジャー、リゾート地でのマリンスポーツなど
SPF30 〜 SPF50 PA++ 〜 PA++++
シーン 4
非常に紫外線の強い場所や紫外線に過敏な人など
SPF50・SPF50+ PA++++
こうしてみると、日常の生活シーンであれば、SPF20・PA++くらいのものでも十分のようです。
もちろん、太陽の光がさんさんと降り注ぐ中、海でマリンスポーツを楽しんだり、山へハイキングに行ったりする場合は、SPF30以上でPAの値もなるべく高いものが安心だと思います。
できれば、日常使用のものとレジャー用のものと2種類の日焼け止めを準備しておく方がよいようにも思います。
日常使用には、ある程度の紫外線防止効果を有しながらも、使用感が良くて、肌への負担も少くて、できれば美容効果も期待できるようなものを選ぶ。
そして、海や山でのレジャーにおいては、紫外線の脅威がより高まりますので、使用感や肌へのやさしさなどを考慮しながらも、紫外線防止効果の高さを最優先に選ぶ。
・・・といった使い分けをすることが必要かもしれません。
いずれにせよ、日焼け止め化粧品は単に紫外線防止効果の高さだけで選ぶのではなく、使用目的や生活シーンなども考慮しながら選ぶようにした方がよいでしょう。
紫外線防止の成分にも注意
また、日焼け止め化粧品に使われる紫外線防止成分にも注意が必要です。
紫外線防止成分には「紫外線散乱剤」と「紫外線吸収剤」があります。
「紫外線散乱剤」は、紫外線を皮膚表面で反射・散乱させて、紫外線が皮膚に入り込むのを防ぎます。
「紫外線吸収剤」は、紫外線を吸収すると熱エネルギーに変化させて放出し、紫外線の皮膚への浸透を防いでいます。
「紫外線吸収剤」の紫外線防止効果は強いのですが、この熱エネルギーへの変換という化学反応は肌への負担が大きく、また、吸収剤自体がかぶれの原因となることもあります。
「紫外線吸収剤」を使ったものではなく、「紫外線散乱剤」を使ったものが、肌にはやさしいと言えます。
特に、肌の弱い方や小さなお子様には、「紫外線散乱剤」を使ったものがおすすめです。
なお、「紫外線散乱剤」については、使用感が重たかったり、不自然に白くなったりと、若干の使いづらさがありましたが、最近ではそういった欠点も改善された製品も出てきています。
[関連ブログ記事]日焼け対策化粧品を選ぶ前に(SPFとPAについて)
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初投稿:2011/04/11