2017年以降、シワ改善効果を謳ったクリームや美容液が相次いで発売されています。
いずれも、「シワ改善効果」を明示できる医薬部外品として厚生労働省から承認を得ています。
果たして、本当にシワが改善されるのでしょうか?
また、どの程度のシワ改善効果があるのでしょうか?
広告等にある資料やデータでは、顕著に効果があった例のみを示すことが多いので、今回は厚生労働省の審議報告書等を参考にしてシワ改善効果を考察してみました。

シワ改善効果 その効能試験の対象となるシワについて

医薬部外品にシワ改善効果を明示するには、効能効果に関するデータや安全性を示す資料等を提出し、厚生労働省での審議を経て承認を得ることが必要となります。
効能効果データは「日本香粧品学会の抗シワ製品評価ガイドライン」に沿った試験結果等が使われます。
この抗シワ製品評価ガイドラインでは、対象のシワの部位は「目尻」、シワの程度を「グレード0〜7」に分けています。
さらに、グレード3と4の中間のような場合は、3.25、3.5、3.75など4段階にグレード分けします。
医薬部外品のシワ改善効果を試験する場合、対象は「グレード3〜グレード5」の「目尻のシワ」となります。

▼ 抗シワ製品評価ガイドラインにおけるシワグレードは以下の通り

[シワグレード0] 目尻にシワは無い
[シワグレード1] 目尻に不明瞭な浅いシワがわずかに認められる
[シワグレード2] 目尻に明瞭な浅いシワがわずかに認められる
[シワグレード3] 目尻に明瞭な浅いシワが認められる(試験対象)
[シワグレード4] 目尻に明瞭な浅いシワの中にやや深いシワがわずかに認められる(試験対象)
[シワグレード5] 目尻にやや深いシワが認められる(試験対象)
[シワグレード6] 目尻に明瞭な深いシワが認められる
[シワグレード7] 目尻に著しく深いシワが認められる

シワ改善効果 その効能試験の方法について

シワ改善効果の評価は、以下の三つの方法で行います。
�〔椹詆床繊ΑΑ�使用前と使用後の目尻のシワを皮膚科医等専門家が目視比較
�⊆命辛床繊ΑΑ�使用前と使用後の目尻のシワを皮膚科医等専門家による写真比較
�5ヾ鑄床繊ΑΑ�使用前と使用後の目尻のシワのレプリカ(鋳型)をとり最大シワの最大深さの変化量を比較
※また、試験を受ける本人には知らせずに、試験対象の有効成分配合の試験品を使用するグループと、有効成分の配合されてない製品(基剤のみ)を使用するグループに分けて、その結果も比較されます。

シワ改善医薬部外品 その効能試験によるシワ改善レベルは?

一例として、某化粧品会社(以下〇〇社)のシワ改善医薬部外品の1回目の効能試験の結果をご紹介します。
試験対象者は「目尻のシワ、グレード3〜グレード5」の40歳代・50歳代の日本人女性48名。
24週間の試験期間中、朝夜の1日2回、洗顔後、化粧水を使用後、両方の目尻に米粒大塗布。
以下がその試験結果ですが、データは平均値です。
個人差がありますから、試験参加者の中には以下のデータ以上の明確な改善効果があった方も、そうでない方もいるということをご理解ください。

�〔椹詆床舛砲茲觧邯鎧臆端圓諒振僖轡錺哀譟璽匹諒儔�
・試験品(有効成分配合)使用の場合
試験開始時点3.93 → 24週間後3.76(0.17グレード改善)
・基剤のみ(有効成分無し)使用の場合
試験開始時点3.99 → 24週間後3.79(0.2グレード改善)

�⊆命辛床舛砲茲觧邯鎧臆端圓諒振僖轡錺哀譟璽匹諒儔�
・試験品(有効成分配合)使用の場合
試験開始時点4.27 → 24週間後4.11(0.16グレード改善)
・基剤のみ(有効成分無し)使用の場合
試験開始時点4.19 → 24週間後4.28(0.09グレード悪化)

�5ヾ鑄床繊淵譽廛螢�評価)による試験参加者の最大シワの最大深さの平均の変化
・試験品(有効成分配合)使用の場合
試験開始時点207.6μm → 24週間後186.8μm(20.8μm改善)
・基剤のみ(有効成分無し)使用の場合
試験開始時点214.6μm → 24週間後217.2μm(2.6μm悪化)
※1μm(マイクロメートル)は0.001mm(ミリメートル)と同じ

シワの変化量に「有意な差」が認められたということだけど・・・

この試験品については、試験結果とともに製品および使用成分の安定性・安全性を示す資料が提出され、厚生労働省の審議において「シワの変化量は統計学的に有意な差が認められた」となりました。
そして、医薬部外品として「シワを改善する」という効能表現を明示することが承認されました。
ただ、この「有意な差」というのは、明確な差と誤解されやすいのですが、そういうことではありません。
試験によるシワの変化量の差が「統計上、偶然に起こったとは認めがたい」というレベルだということです。

目視評価・写真評価でのシワ改善レベルの比較は微妙な差?

目視評価や写真評価による24週間使用後のシワグレードの変化は、目視評価で0.16改善、写真評価で0.17改善です。
このレベルの改善であれば、見た目にはほとんど影響が無いのではないでしょうか。
約6ヶ月使用しても、この数値程度の変化であれば、明確にシワの改善があったとは言えないように思います。
シワの改善というより進行を遅らせるというレベルかもしれません。
24週間使用後の目視比較では、有効成分配合の試験品使用で0.16改善に対し、効果の無いはずの基剤使用でそれを上回る0.2の改善結果が出ています。
データの信頼性にも疑問があります。

シワの深さの変化量も肉眼では分かりにくいレベル

機器(レプリカ)評価でのシワの深さの平均変化量は、24週間使用後で20.8μm改善しています。
これは分かりやすくミリ単位で言えば、0.2mmほどの深さのシワが0.02mmほど浅くなったということです。
サランラップの厚みが0.01mmですので、0.02mmシワが浅くなっても肉眼では確認できないかもしれません。
あくまで仮定の話ですが、このペースで深さ0.2mmのシワを消すには、240週間(4〜5年)必要です。
その間使用を継続すると商品の購入代金も多額になります。
また、基剤のみを使用したグループで、24週間後で2.6μmほどシワが深くなっています。
ミリ単位で言えば、0.0026mmシワが深くなったということで(サランラップの厚みの1/5ほど)、肉眼ではまず気づきません。

有効成分無しの基剤のみ使用と比較した結果

上記の試験では〇〇社独自の有効成分が配合された試験品と、有効成分の無い基剤だけのものとで比較しています。
もちろん、基剤だけの使用でも肌の保護効果や保湿効果はある程度はあります。
しかし、基剤だけの使用ではシワ改善といった大きな美容効果が得られにくいというのも当然です。
通常の化粧品や医薬部外品は、基剤にプラスして各種の保湿成分や美容成分が加わり製品化されます。

認可のために重要なのはシワ改善レベルより安全性

厚生労働省の審議でも「使用者がシワの改善を実感できるのか懸念がある」という指摘があったようです。
ただ、厚生労働省における審議の最重要のテーマは、製品の安全性であって、シワの改善レベルではありません。
審議報告書を見ると、審議内容の多くはシワ改善の度合よりも、その製品や使用成分の安全性の問題に費やされています。

試験参加者ご本人の感想は・・・

試験参加者へのアンケート調査(シワ改善効果についての実感)も実施されています。
試験品(有効成分配合)使用の人の97.9%、基剤のみ(有効成分無)使用の人の95.8%がシワの改善を感じたということです。
不思議なことに有効成分配合の有無に関わらず、使用者本人の効果感に差はありません。

シワ改善〜大きな期待はできない! 地道なスキンケアが大切

上記試験の製品をはじめとして、シワ改善効果の明示を厚生労働省から承認された医薬部外品がいくつか発売され、シワの発生・進行に悩む多くの女性がこういった商品に期待を寄せているものと思います。
シワ改善効果を謳う製品を販売するには、客観的データをそろえ医薬部外品としての承認を得なければなりません。
そのためには、大きな費用と長い年月、そして様々な労力が必要になります。
しかし、より消費者の関心を集め、売上を伸ばすためには、シワ改善効果を堂々と謳えることが大きなメリットとなります。
ただ、上記試験結果を見ると、シワの改善と言っても、シワが浅くなったことが一目で分かるような明確な改善効果はないように思います。
さらに言えば、あくまでシワ改善という効能効果の表示を認められた過ぎず、効果を保証するものではありません。
上記試験結果にあるシワ改善レベルであれば、従来の化粧品・医薬部外品でも目指すことが可能かもしれません。
その程度の改善すら期待できないのなら、従来の化粧品・医薬部外品の使用は意味の無いものになってしまいます。
もちろん、従来の化粧品・医薬部外品では、法令上シワ改善効果を明示することは出来ませんが・・・

シワ対策の基本は紫外線防止と肌保湿のための地道なスキンケア

いずれにせよ、シワ改善効果が明示された製品であっても、その製品だけに過度な期待はしない方がよいでしょう。
シワの発生は、紫外線の影響、肌の乾燥(水分不足)、老化による真皮層の劣化などが原因によって起こります。
まずは、紫外線の悪影響を排除・抑制するように注意すること。
次に、肌が水分不足とならないような保湿対策。
肌の保湿機能やバリア機能を損なわない正しいお手入れなどが重要になります。
真皮層の劣化については、化粧品による直接的なケアは難しいものの、肌表面の保湿対策をしっかりと行い角質層を健やかに保つことが真皮層の状態にも好影響を与えます。
化粧品や医薬部外品では、シワの改善(特に真皮層劣化によるシワの改善)については限界があり、予防と進行の鈍化が現実的な目標になるかと思います。
正しいスキンケアを地道に継続することがシワ対策の基本と考えるべきでしょう。

以下のページでシワの原因と対策について取り上げています。よかったらご覧ください。
[公式サイト内ページ]【特集記事】シワの原因と対策について
[関連ブログ記事]シワの原因と対策〜表皮のシワと真皮のシワ

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初投稿:2019/04/07






